
みなさん、オリジナルムーブ作ってますか?
カーディストリーは既存の技を覚えるのも楽しいけど、やっぱり自分のムーブを作るのも大きな醍醐味ですよね。
今回は、良いオリジナルムーブを作るためのヒントとして、「タッチ・アイディア・デザイン」のトレードオフについて解説します。
良いムーブとは?についてはこちらの記事をご覧ください。
トレードオフについて
この記事の筆者のvin.はかれこれ100個以上の技を制作してきました。
自分や他人のムーブを解析していく中で感じた法則について書いていきます。
まずはじめに、僕は今までタッチ、アイディア、デザイン全てが完璧だと思ったムーブに出会ったことはありません。
三つのうち二つは完璧だ!て感じたムーブはいくつかはありますが、すべてを最高水準で両立させるのは極めて難しいと思います。
これはなぜかというと、タッチ、アイディア、デザインの三要素はトレードオフの関係にあるからなんです。
トレードオフとは?
一つの要素を良くしようとすると、他の要素が下がってしまうような関係。
以下に、3つのトレードオフのパターンについて見ていきましょう。
パターン1:アイディアを重視しすぎた結果
個人的に失敗してしまったなーと思う事例を紹介します。
まずこちらはTikTokと言う2018年に発表した4パケットの技です。

この技は三要素のバランスが良く取れていて、周りからも良い反応をいただけていました。
その後、ランニング(ループ)バージョンや5パケバージョンも発表して進化を続けました。
2023年、Missing Battlesという世界大会の決勝に進出した時に、このTiktokシリーズをさらに進化させたいと思いました。
それで完成したのがこちら。

ひ、ひどすぎる、、、
このムーブで何を伝えたかったのかというと、
TikTokの4パケループをする
↓
TikTokの5パケxループという新要素に進化する
↓
と思いきや、さらに6パケxループ
という二段構成で驚かせようという意図がありました。
しかし、アイディアを大きくしようとした結果、タッチとデザインが大幅に犠牲にされてしまいました。
• アイディア: 「パケットが増えていくランニングカット」という新しいコンセプト → 〇
• 文脈性: TikTokが進化し続けている → 〇
これは良かったのですが、
• タッチ: 難しすぎてタッチやフロウ、フレアが壊滅し、見ていて不快感を与える → ×
• デザイン: 一貫性はあるが、実用性がなく「汚い」印象 → ×
トータルで見ると、5年前に作った最初のTikTokの方が、全体的に良いムーブだという評価になると思います。
ムーブを作る際、みんなどうしてもアイディアを重要視してしまいがちです。
ただこのように、アイディアを強化しようとすると複雑性が増し、実用的なデザインではなくなってしまい、タッチも難易度が跳ね上がってしまいます。
パターン1: アイディアを重視
• アイディア ↑
• タッチ ↓
• デザイン ↓
では、逆にデザインを良くしようとしたらどうなるのか?
パターン2: デザインを重視した改善
先ほどの2回進化するムーブの4パケと6パケ部分を捨てて、5パケループ単体で発表したのがこちらになります。

無理なグリップを減らすことによって全体的にデザインのまとまりが良くなり、タッチも向上しています。
が、アイディアのパワーで言ったら少し下がっています。
インスタではこちらのムーブの方が評価が高かったです。
「アイディアの減少によるマイナス」よりも「タッチとデザインの向上によるプラス」の方が大きかったということですね。
パターン2: デザインを重視
• デザイン ↑
• タッチ ↑
• アイディア ↓
タッチは練習すればするほど良くなるので、基本的にトレードオフの関係はありません。
ですが、一応こういうパターンもあります。
パターン3:手癖から作るムーブ
こちらの技は、アイディアづくりにつかれた僕が「とにかくやりやすくて気持ち良いムーブを作ろう」と思ってできた技です。

特に練習に時間をかけなくても一定のレベルのタッチをすぐに達成できました。
実用的なデザインだとは言えますが、アイディアに新規性やわかりやすいテーマがないのがわかると思います。
Kiichiさんに感想聞いた時も、ムーブってよりもコンボって感じがすると言われました。
パターン3: 手癖重視
• タッチ ↑
• アイディア ↓
• デザイン →
まとめ
人によって、アイディアを重視する人もいれば、デザインやタッチを優先する人もいます。
トレードオフの関係を理解し、自分がどこに重点を置くのかを意識しながらムーブ作りに取り組むことが重要です。
また、今回紹介したトレードオフの関係は、あくまで一般的な傾向であり、すべての技に当てはまるわけではありません。
例えば、稀にタッチ・アイディア・デザインのバランスが非常に優れたムーブも存在しますし、発想次第でトレードオフを最小限に抑えることも可能です。
ぜひ、このトレードオフの関係をヒントに、オリジナルムーブを作ってみてください!